ペルー南部にあるインカ帝国の遺跡マチュピチュは『空中都市』と呼ばれる。
東・北・西の三方を崖に囲まれた標高約2500メートルに位置し、
雲が眼下にたなびくためその異名がついた。
高所に位置するためマチュピチュの存在はインカ帝国滅亡から約400年たった
1911年まで発見されなかった。
マチュピチュは世界遺産にも登録されている遺跡だが、その滅亡に関しては謎が多い。
一説では、マチュピチュは幻の都市ビルカバンバではないかという。
そこはインカ帝国の人々がスペイン人と戦ったとき、最後まで抵抗を続けた地である。
もしマチュピチュがビルカバンバならば、男たちが次々に出陣しほろんだと考えられる。
それはマチュピチュ周辺で発見された人骨がほとんど女性のものだったからである。
また近年ではマチュピチュは太陽の処女アクリャたちの聖域だったと言われている。
さらにはアクリャの禁じられた恋こそがマチュピチュ滅亡の原因ではないかとの説もある。
アクリャたちは、一般の人々との交流を断ち「処女の館」に住み恋愛や結婚を禁じられた。
もし禁を破れば密通したアクリャは生き埋め、相手の男は処刑された。
そればかりか男の属する村や町は住民も家畜も皆殺しだった。
この厳重な禁忌により近隣の村がほろんでいったため、
マチュピチュは生活を支え切れなくなったのではとされている。